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ソル「アンダンテ・ラルゴ Op.5-5」を再チェック

2020年10月4日

生徒さんからレッスンのリクエストがあったので、F.ソル作曲のアンダンテ・ラルゴを久しぶりに弾いて、楽譜の再チェックもしました。

フェルナンド・ソル(1778-1839)は、クラシックギターでは最も重要な作曲家のひとり。「アンダンテ・ラルゴ Op.5-5」は6つの小品 Op.5の中の1曲だけど、巨匠セゴビアの演奏でよく知られている名曲です。

ソルの「Andante Largo」

さて、どんな曲か聴いてみましょう。

演奏はベラルーシ出身の女性ギタリストTatyana Ryzhkova (タチアナ・リツコヴァ)です。YouTubeで情報を発信しているので、ときどき視聴しています。

 

3種類の楽譜を用意

楽譜をチェックするため、手持ちの中から勉強になりそうなものを選んで出してきました。

  • 【左】現代ギター社:標準版ソルギター曲集(6)小品集/中野二郎・監修
  • 【中】ソル作品選集[バルエコ校訂・運指]と準拠CD 
  • 【右】現代ギター社:クラシックギター 名曲てんこもり BOOK Vol.2 

ソル アンダンテ・ラルゴ

 

3種類の楽譜をチェック

クラシック曲、しかもギターのための曲だから、どれも基本的に原曲の音を変更していないはずなんだけど、見比べて違いがないか探します。もちろん、ミスプリントなども。

 

楽譜にはそれぞれ特徴が

【左】現代ギター社:標準版ソルギター曲集(6)小品集/中野二郎・監修は、「標準版」というだけあって原典に近いから安心して使えます。運指はほとんど書かれていません。

【中】ソル作品選集[バルエコ校訂・運指]はさすが名ギタリスト。音楽の流れや演奏性を考慮した運指は、読んでいるだけで感動します。
ただ、必要な音が3音なかった。準拠CDを聴いたら入っていたのでミスプリントだろう。

【右】現代ギター社:クラシックギター 名曲てんこもり BOOK Vol.2は基本的にセゴビア版。 ソルの曲を通じて巨匠セゴビアの音楽や考え方を学べます。ただ、セゴビア版は独自の音変更や削除、フレーズの変更などがいくつもあるから、それを知った上で弾くことが大切です。

 

Manuel Barruecoの演奏も聴いてみよう

模範的であり音楽的な演奏に魅力を感じます。僕のお気に入りギタリストの一人です。

 

この曲を弾くなら…

標準版ソルギター曲集で運指を自分で考えて弾いて、
バルエコ校訂・運指で弾き易く工夫された音楽的な運指を知り、
セゴビア版でセゴビアの音楽や考え方を学ぶ、
という順番で弾いていくのが僕のオススメです。

同じ曲の楽譜でも、演奏者や楽譜の校訂者によって違いがあるし、それで演奏が変わるのはクラシックの面白さですね。

素敵な曲なので、ぜひ挑戦してみてください。

 

【楽譜】クラシックギター 名曲てんこもり BOOK Vol.2

現在は表紙のデザインが変わり、サイズがB5からA4になって見やすくなった。

 

【CD】バルエコ〈ソル作品選集~ギターのベートーヴェン〉

 

  • この記事を書いた人
アズール・ギター教室 代表

山口 直樹

アズール・ギター教室 代表

名古屋生まれの名古屋育ち。

1995年に「ギターの楽しさを多くの方に知ってもらいたい」と、4年間務めた一般企業を退職してアズール・ギター教室を設立。現在も名古屋市と知多市の5ヶ所の教室を運営中。

ギターを弾くことやレッスンが大好きで、楽器や関連グッズの探索はカレーと同じくらい大好物!