生徒さんからレッスンのリクエストがあったので、F.ソル作曲のアンダンテ・ラルゴを久しぶりに弾いて、楽譜の再チェックもしました。
フェルナンド・ソル(1778-1839)は、クラシックギターでは最も重要な作曲家のひとり。「アンダンテ・ラルゴ Op.5-5」は6つの小品 Op.5の中の1曲だけど、巨匠セゴビアの演奏でよく知られている名曲です。
ソルの「Andante Largo」
さて、どんな曲か聴いてみましょう。
演奏はベラルーシ出身の女性ギタリストTatyana Ryzhkova (タチアナ・リツコヴァ)です。YouTubeで情報を発信しているので、ときどき視聴しています。
3種類の楽譜を用意
楽譜をチェックするため、手持ちの中から勉強になりそうなものを選んで出してきました。
- 【左】現代ギター社:標準版ソルギター曲集(6)小品集/中野二郎・監修
- 【中】ソル作品選集[バルエコ校訂・運指]と準拠CD
- 【右】現代ギター社:クラシックギター 名曲てんこもり BOOK Vol.2
3種類の楽譜をチェック
クラシック曲、しかもギターのための曲だから、どれも基本的に原曲の音を変更していないはずなんだけど、見比べて違いがないか探します。もちろん、ミスプリントなども。
楽譜にはそれぞれ特徴が
【左】現代ギター社:標準版ソルギター曲集(6)小品集/中野二郎・監修は、「標準版」というだけあって原典に近いから安心して使えます。運指はほとんど書かれていません。
【中】ソル作品選集[バルエコ校訂・運指]はさすが名ギタリスト。音楽の流れや演奏性を考慮した運指は、読んでいるだけで感動します。
ただ、必要な音が3音なかった。準拠CDを聴いたら入っていたのでミスプリントだろう。
【右】現代ギター社:クラシックギター 名曲てんこもり BOOK Vol.2は基本的にセゴビア版。 ソルの曲を通じて巨匠セゴビアの音楽や考え方を学べます。ただ、セゴビア版は独自の音変更や削除、フレーズの変更などがいくつもあるから、それを知った上で弾くことが大切です。
Manuel Barruecoの演奏も聴いてみよう
模範的であり音楽的な演奏に魅力を感じます。僕のお気に入りギタリストの一人です。
この曲を弾くなら…
標準版ソルギター曲集で運指を自分で考えて弾いて、
バルエコ校訂・運指で弾き易く工夫された音楽的な運指を知り、
セゴビア版でセゴビアの音楽や考え方を学ぶ、
という順番で弾いていくのが僕のオススメです。
同じ曲の楽譜でも、演奏者や楽譜の校訂者によって違いがあるし、それで演奏が変わるのはクラシックの面白さですね。
素敵な曲なので、ぜひ挑戦してみてください。
【楽譜】クラシックギター 名曲てんこもり BOOK Vol.2
現在は表紙のデザインが変わり、サイズがB5からA4になって見やすくなった。
【CD】バルエコ〈ソル作品選集~ギターのベートーヴェン〉