レッスンで使用しているお気に入りのアコギたちは、今年に入ってから購入したものですが、1993年製(上)と1995年製(下)という年代物。
もちろんギター好きとして、こだわりで選んだ逸品です。
デザインは違いますが、両方ともLarriveeというカナダのギターメーカーのOM-10という機種。
1995年製(左)と1993年製(右)
長年の使用により、2本のギターともサドル(弦が載る部品)に弦の振動による溝ができていました。
人工象牙ともいわれるタスク(TUSQ)という樹脂で作られていますが、製作から20年ほどたっているので摩耗しています。
1993年製は音が鼻が詰まったようなモゴモゴとしたハッキリしない音色になっているし、1995年製は弦高がやや低くて雑音が出ています。
生徒さんたちにもギター本来の良い音を聴いて欲しいので、部品交換を含めたギター全体のオーバーホールを依頼するため、リペア(調整)の専門家のところにギターを持参しました。
アコギのリペア(調整)は年末に完了予定だったけど、レッスンで使っているという私の事情を察し5日間で仕上げてくださいました。大助かり。
リペアの作業内容は2本ともサドルを新たに作り、ナットの溝は切り直したそうです。
通常だとそれだけで作業は終わりですが、当教室のエレキギター講師から『今回のリペアの方はかなりの腕前』だと聞いていたので『ギターのチューンアップ』も施してもらいました。
『チューンアップ』を辞書でひくと、「自動車などで、エンジンを一部改造して出力を大きくすること。また一般的に、手を加えて性能をよくすること」とありますが…。
さすがの腕前。早速弾いてみるとギターに劇的な変化が。
1993年製(右)は鼻が詰まったようなモゴモゴとしたハッキリしない音色でしたが、シャラーンという輝きのある音色へと変わりました。
1995年製(左)はストロークで弾くとビビリ音がありましたが、雑音は無くなり、各弦のバランスが良くなってコードがきれいに響くようになりました。
しかも2本とも音量が大きくなった。弦はあえて交換しなかったという配慮のおかげで以前との違いがよく分かり、その差は歴然です。
サドルは弦ごとに高さが微妙に変えてあります。
しかしホントの秘密は底の部分にあるらしい。各弦の音のバランスを聴きとり、サドルの底を削ってギターにかかる弦の圧力を調整したそう。
ここまで変化させられるとは…さすがプロ。ギターのレベルがワンランク上がったみたいで、お任せして良かったです。
さらに、ギターの各部品についての善し悪しの見分け方、今回の2本のギターの構造的な違いなどを細かく教えていただけ、たいへん勉強になりました。
形だけなら自分でも作れるかも知れませんが、とてもここまでの質の高い作業はできません。まさに職人技!費用は1本につき【安いギターなら買えるくらい】でしたが、それだけの価値はありました。
あまりにも良くなったので、来年はクラシックギターも『チューンアップ』に出すことに。
弾きにくいギターでは上達の妨げになるので、皆さんもギターのメンテナンスはしっかりしましょうね。