以前に鳴海教室(名古屋市緑区)に通われていた生徒さんから、久しぶりに連絡がありました。『使用しているギターの調子が悪いので相談したい』とのこと。
この方は、定年退職されてからはご自身でギターを楽しまれています。『ときどきブログを見ていますよ』と言われると、『役に立つ記事を提供できているかな?』って心配になりますが、興味を持ってただけるのは嬉しいです。
カシミロ・ロサーノのクラシックギター
さて、ご持参されたのはスペインの個人製作家 Casimiro Lozano(カシミロ・ロサーノ)のクラシックギター。クセのないスッキリとした音で、とても弾きやすいギターです。
1年半くらい前にもリペア(修理・調整)をしたけれど、今回は『指板と表面板の間に、隙間が空いてしまった』とのこと。隙間に紙を差し込んでみると、スルスルっと入っていく。これはマズイかも。
他にも『音が以前よりも鈍くなった』とのこと。
ちなみに本来はないはずのポジションマークは、ご自身でシールを貼ったお手製のものです。
リペアマンに点検してもらったら…
ボディーや力木は問題なし。
ただ、フレットの高さが一定ではないので、特定のフレットを押さえるとビビるってしまう。1フレットは浮き上がってきてるし、4フレットは少し高いようだ。
あと、弦高が6弦12フレットで5mm!この高さでは、さすがにハイポジションが弾きにくいでしょう。一概には言えないけど、3.5mmくらいが適正かと思います。
ご本人にこの弦高で弾きにくくないか確認したところ、『(現在は独学なので)ハイポジションはあまり使わないので気にならない』とのこと。
でも、このままだとビビりが出てしまうし、音がキレイに響かないので、フレットのすり合わせをしてデコボコを取り、ナットやサドルを調整をして弦高を下げることになりました。
1か月後
名古屋市内のリペア(修理・調整)専門工房に出していた生徒さんのギターが、1ヶ月の入院生活を終えて無事に返ってきました。
一番気になっていたのは、指板と表面板の接着が剥がれてできた隙間。紙が入ってしまうくらいだったけど、もう入りませんよ。(当たり前だけど!)
やや逆反り気味だったネックは、ギター用のアイロンで熱を加えて適切な状態になり、フレットの高さは擦り合わせをして揃えたのでビリつき音も出なくなりました。
キレイに磨かれたフレットは、新品のようにピッカピカだ!
ナット(ヘッド側の弦を支えている白い部品)【上】とサドル(弦を支えている白い部品)【下】は、ネックやフレットの状態に合わせて作り直しになりました。
ギター全体の状態が良くなったおかげで音がクリアーになり、スッキリとした音で聴き取りやすもキレイに響きます。
適切な調整をすることで、ギターは弾きやすくて良い音になるんですよ!
通常とは違って、サドルは高音側が高くなっていました。リペアマンに理由を尋ねると、弾きやすいようにと、このギターに合わせるとこんな形になるとのこと。
リペアマンと話すことで、いつも勉強させてもらっています。
ギターの上達のためにも…
ギターはメンテナンスをせずに、ずっと良い状態で使える訳ではありません。車と同じように点検したり、必要に応じて調整や修理をしていくことで、弾きやすく快適な状態で演奏できるんです。
ギターの上達には練習する以外にも、自分の楽器の音や状態に気を配ることをお奨めします。
ご了承ください
ギターや関連グッズに関するアドバイスは、これから入会される方、受講中の生徒さんへのサービスとして無料で行っています。
ただ、当教室は楽器店ではありませんし、楽器販売を目的としたギター教室でもありませんので、一般の方からの質問・相談はお受けしておりません。