「魔笛」の主題による変奏曲~作品9はクラシックギターで最も重要な作曲家のひとり、フェルナンド・ソルが作曲したギター独奏曲です。
モーツァルトのオペラ『魔笛(まてき)』の中の1曲が題材になっていて、イエペス版の楽譜には原曲の楽譜も掲載されています。
自宅の本棚を軽く探しただけでも掲載されている楽譜がこれだけ出てくるくらい、本当に有名な曲なんです。『クラシックギターを弾く人には』だと思うけど…。
上段)【現代ギター社のソル全集】【速水武志/編】【現代ギター社の増刊】【ドレミ楽譜出版社】
下段 【セゴビア版】【イエペス版】【バルエコ版】
同じ曲を多くのギタリストや出版社が出しているけど、それぞれ運指が違うし、音符の書き方も違います。それぞれの楽譜から、著者の曲に対する考え方を読み取れるから、パズルを解くようで面白い。セゴビア版は特に音符を注意して見ないと…。
楽譜の再チェック
なぜそんな有名曲をいまさら再チェックしたのかというと、僕が大好きなギタリストのマヌエル・バルエコ(Manuel Barrueco)が2016年末に〈ソル作品選集~ギターのベートーヴェン〉というCDと、それに沿った楽譜を発売したからなんです。
右上のCDはジャケットの写真を見てわかる通り、かなり以前に録音されたもの。感動しながら何度も聴いた記憶があります。右下の新しいCDでは【魔笛】が再録音されています。
さらにCDの内容に沿った楽譜も入手。巨匠バルエコの付けた運指で弾いてみると、『この部分は、このポジションで弾いているのか!』なんて新しい発見があったし、一つひとつの音を大切に弾いていることもよく分かりました。
クラシックギターは「楽譜に書いてある音符を、ただ弾く」のではなく、「なぜこのように楽譜や運指を用いたのか」まで考えて弾くと、より面白くなりますよ!
準拠のCD
滑らかな音の流れで、声部がハッキリと分離して聴こえるのはさすが!しかも各声部が独立して歌ってるし。
【魔笛】の他にも、中級で弾く【月光 Op.35-22】や【メヌエット Op.11-5】など、レッスンでお馴染みの練習曲や小品も録音されているから、おすすめです!