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カルカッシ『25の練習曲 Op.60』のススメ

2023年7月6日

カルカッシ作曲の「25の練習曲 Op.60」はクラシックギターでは定番の練習曲集。

古典の様式や奏法、音楽表現に沿った運指の選び方などを学ぶのに役立つので、当教室でも活用しています。

カルカッシ作曲「25の練習曲 Op.60」

僕の生徒さんでは、現在4名が順次進んでいます。

僕としても、常に何曲も弾く機会があるのは、ありがたいことです。何度も教えることで曲の理解が深まっていくし、演奏レベルの維持・向上に役立つから。

カルカッシ Op.60 全音版

カルカッシって誰?

マッテオ・カルカッシ(Matteo Carcassi, 1792年 - 1853年)は、イタリア出身の作曲家でギタリスト。

カルカッシ・ギター教則本(Op.59)は入門者の教則本としてよく使用されていて、僕もクラシックギターを習い始めたときはここから始まりました。下の画像の左上は、その時のテキスト。懐かし~い。

また、25の練習曲 Op.60は定番の練習曲です。多くの楽譜が出版されていて、うちの書庫には7冊もありましたよ!

カルカッシ 25の練習曲 楽譜

後列左から)【速水武志】【溝淵浩五郎】【Rey de la Torre】【田部井辰雄】
前列左から)【現代ギター社原典版/佐藤弘和】【Brian Jeffery】【Paul Henry】

どうして同じ曲の楽譜をたくさん持ってるの?

もちろん全ての楽譜に同じ曲が載っています。基本的には同じ音符が並んでいるから、1冊あれば足りるはず…ですよね。

ただ同じ曲でも、それぞれの編者によって運指が違ったりしてるんです。運指はギタリストの工夫や癖、音楽への考え方まで表すから、『同じ曲をどう料理しているか』を知るのが面白くて、つい楽譜が増えてしまいました。

『現代ギター社原典版/佐藤弘和』『Brian Jeffery版』は原典版で、あとはそれぞれのギタリストによって運指付けなどがされています。
見比べたことで原典からの変更点や、それぞれに記譜のミスプリントや意図的な (?) 変更点があることも分かりました。

ところで「運指」って何?

運指とは「ギターの〇弦を〇指で押さえて、〇指で弾く」という楽譜上の指定のこと。

クラシックギターの楽譜だと、使用弦(丸に入った数字)、弦を押さえる左指(1、2、3、4)、弦を弾く右指(p、i、m、a)などの記号を使って表されます。

カルカッシ Op.60 楽譜

例えばこの楽譜の最初の音は「【ド】の音を3指(薬指)で押さえて、p指(親指)で弾く」と読み取れます。

文字で書くと長くて読みづらいから、記号って便利!

運指についての考え方は…

僕はたくさんの楽譜で弾いたことで、運指を含め多くのことをこの曲から学べたのは収穫だった。

ただ、『自分にとって弾きやすい運指』ばかりを追ってしまうと、苦手な運指の克服や音楽表現がおろそかになるのでご注意を!弾きにくくても、まずは記載してある通りに弾いてみましょう。

僕は運指についてこんな考え方を心がけていますが、皆さんはいかがですか?

メモ

運指は、音符をもっと楽に演奏できる方法を探すのでなく、練習すべきパッセージが持つ音楽的アイデアを楽に実現できる方法を探すことである。

  ギター達人への道(エドゥアルド・フェルナンデス著)より

カルカッシ「25の練習曲」の楽譜

参考までに、入手しやすい楽譜をご紹介します。

カルカッシ 25のエチュード(全音)

当ギター教室でも使っている入手しやすい定番の楽譜。全音楽譜出版の溝淵浩五郎 編は、ミゲル・リョベートの付けた運指が掲載されています。

原典版 カルカッシ ギターのための25のエチュード Op.60など

「25のエチュードOp.60」を、作曲家&ギタリストの佐藤弘和が校訂してまとめたもの。カルカッシの原典から、第三者的な解釈をできるだけ排除して忠実に現代譜にしてあるから、スッキリと見やすい楽譜になっています。

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アズール・ギター教室 代表

山口 直樹

アズール・ギター教室 代表

名古屋生まれの名古屋育ち。

1995年に「ギターの楽しさを多くの方に知ってもらいたい」と、4年間務めた一般企業を退職してアズール・ギター教室を設立。現在も名古屋市と知多市の5ヶ所の教室を運営中。

ギターを弾くことやレッスンが大好きで、楽器や関連グッズの探索はカレーと同じくらい大好物!