クラシックギター教室

「最後のトレモロ」(A.バリオス)を再チェック!~楽譜選び、伝記、奏法解説なども

2025年8月17日

クラシックギターの名曲『アルハンブラの思い出』のレッスンが最近また増えてきたから、他のトレモロ奏法の曲も課題に出そうと『最後のトレモロ』を再チェックしました。

『最後のトレモロ』(バリオス)を弾こう!

パラグアイのアグスティン・バリオス(Agustín Barrios,1885-1944)が作曲した『最後のトレモロ』は好きな曲の1つだけど、レッスンする機会がなくて20年以上前に弾いたっきりになってた。

ああ、なんという事でしょう!

僕もレッスンするにあたって改めてトレモロ奏法の練習をしたから、その流れで久しぶりに『最後のトレモロ』の楽譜も再チェックしました。

最後のトレモロ~演奏:ジョン・ウィリアムス

哀愁を帯びたトレモロ奏法の名曲だ。まずはどんな曲か聴いてみてください。

バリオスを弾くための資料

バリオスの楽譜には「ストーヴァー版」と「ベニーテス版」、2種類の定番の楽譜があるのがややこしい。

なので僕がバリオスの曲を弾くときは、この2種類を比較検討して、さらに他の楽譜を参考に自分のバージョンを作っています。

バリオスの楽譜(ストーヴァー版)

海外のプロが使用していることが多く、ベニーテス版より1年早く出版された楽譜集。全2冊で、「最後のトレモロ」はVOL.2に掲載されています。

なんと!VOL.2にはバリオスの自演を収録したCDが付属してるんです。「最後のトレモロ」は残念ながら入っていないけど。

バリオスの楽譜 ストーヴァー版

バリオス・マンゴレ ギター作品集(ベニーテス版)

日本で手に入れやすいのは、全音楽譜出版社から出版されている全4巻のベニーテス版。

日本の出版社のものだからか楽譜の雰囲気に馴染みがあって読みやすく、付けてある運指がスムーズだから、僕はこの楽譜を元に弾いています。

バリオスの楽譜 ベニーテス版

どちらを入手すればいいの?

2種類も紹介すると、生徒さんからそんな質問をされます。

同じ曲でも運指や音に違いがあるから、熱心な方は比較検討するのに両方あった方がいいけど、どちらか一方をと尋ねられたらベニーテス版をお勧めします。

日本語のタイトルが書いてある方がベニーテス版です。

バリオスの楽譜 ベニーテス版とストーヴァー版

「最後のトレモロ」はバリオス・マンゴレ ギター作品集(2)に「過ぎ去りしトレモロ」というタイトルで掲載されています。

現代ギター「名曲演奏の手びき Part.VIII バリオスのすべて」

バリオスの生涯や作品、奏法解説や楽譜など貴重な情報が満載だ。

現代ギター 1993年12月臨時増刊(No.343)と古い本だけど、充実した内容なので中古で見つけたら入手してください。

「名曲演奏の手びき Part.VIII バリオスのすべて」

複数のタイトルがあるんです…

この曲には以下のように複数のタイトルがあります。

  • 最後のトレモロ
  • 過ぎ去りしトレモロ
  • 神のお慈悲に免じてお恵みを

「最後の」とか「過ぎ去りし」と付いているのは、バリオスが亡くなる直前に書いた遺作だから。しかも本人はタイトルは付けていなかったそう。

「神のお慈悲に免じてお恵みを」については、先に紹介したYouTubeの動画の元になっているジョン・ウィリアムスのDVDを持っているから(大ファンだからね!)、その解説から引用します。

彼は晩年、中米のエルサルバドルでギター教授をしていたが、その頃、毎日決まった時刻に彼の住居の扉を叩く、物乞いの老婆があった。バリオスは、そのノック音と「神様のご慈悲に免じて施しを」と唱えるかぼそい声にヒントを得て、繊細なトレモロの手法を用いたこの美しい調べを作曲した。

まとめ

「アルハンブラの思い出」でトレモロ奏法を習得したら、それだけではもったいない。

やや難易度は上がるけど、ぜひ「最後のトレモロ」にもチャレンジしてみてくださいね。

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アズール・ギター教室 代表

山口 直樹

アズール・ギター教室 代表

名古屋生まれの名古屋育ちです。

1995年に「多くの方にギターの楽しさを知ってもらいたい」と、4年間務めた一般企業を退職してアズール・ギター教室を設立しました。

ギターを弾くことやレッスンすることが大好きで、楽器や関連グッズの探索はカレーと同じくらい大好物。