ブラジルの作曲家 H.ヴィラ=ロボス(1887-1959)の曲はレッスンでよく取り上げるけど、『練習曲 第1番』と『前奏曲 第1番』がほとんど。
練習曲は12曲、前奏曲は5曲もあるのに…。他にもギターの特性を活かした良い曲が多くあるから、弾かないなんてもったいない。
僕としてもまた弾きたくなったので、レッスンで取り上げやすい5つの前奏曲から改めてチェックすることにしました。
ヴィラ=ロボス『 5つの前奏曲 』
マルツィン・ディラが弾く『5つの前奏曲』
ポーランドのクラシックギタリストMarcin Dyllaの演奏を聴きながら記事をお読みください。
5つの前奏曲のサブタイトル
「5つの前奏曲」には、それぞれサブタイトルが付いています。
前奏曲 No.1 「叙情のメロディー」
前奏曲 No.2 「リオの伊達男の歌」
前奏曲 No.3 「バッハへの讃歌」
前奏曲 No.4 「インディオへの讃歌」
前奏曲 No.5 「社交界への讃歌」
ヴィラ=ロボス「5つの前奏曲」の楽譜
ヴィラ=ロボスのギター曲の演奏をYouTubeで視聴すると分かかるけど、ギターのために作られた曲なのに奏者によって運指が違う箇所があります。
なぜ違うかというと、以前から広く使用されている出版譜(ノード編)は運指が書いてない部分が多いから。習う先生によって運指が違うなんて事は当たり前だった。それが各先生の考え方を知る機会にもなったので、あながち悪いことだとも言えないけど。
もちろん、演奏者によっても運指を工夫しているから、そういう前提でいろんな動画を観るとより面白いかも。
以前の定番楽譜
左)ヴィラ=ロボス ソロギター作品集[ノード編]
ショーロス第1番、ブラジル民謡組曲(5曲)、練習曲(12曲)、前奏曲(5曲)が1冊にまとまっていて、僕も最初はこの楽譜を使いました。
右)ヴィラ=ロボスとギター(現代ギター増刊号)
ヴィラ=ロボスの生涯や各曲の解説が載っていて、本当によく読んだ。ノード編はミスプリントが多いから正誤表が載っていて大助かりだったよ。
ヴィラ=ロボス:ジガンテ校訂の新しい楽譜集
【左】5つの前奏曲
【中】12の練習曲
【右】ブラジル民謡組曲
【下】校訂者フレデリック・ジガンテのCD
ヴィラ=ロボスの手稿譜を元にフレデリック・ジガンテが校訂した楽譜で、2007年に出版されました。
運指はヴィラ=ロボスによるものを考慮して校訂されているから、『ああ、作曲家はこういう運指をイメージしていたのね』って妙に納得したり。ミスプリントも少ないのでオススメです。ノード編と比較しながら読譜すると面白いですよ。
季刊誌 Guitar Dream の記事
ヴィラ=ロボスの手稿譜の発見は、クラシックギターの季刊誌Guitar Dream(ギタードリーム)で3回に渡って記事になりました。
ピアノ編曲版の音源があった!
巣ごもりの合間に現代ギター誌のバックナンバーを読み返していたら、この曲のピアノ編曲版があることを知りました。これは凄い発見だった!
ヴィラ=ロボスと親交のあったピアニストのジョセ・ブランダンが編曲したもので、原曲に忠実でとても良いアレンジです。ギター曲がピアノで演奏されるなんて珍しいことだ。
演奏はソニア・ルビンスキーというベテランの女流ピアニスト。ギターの演奏を聴き比べるだけでも興味深いし、ギターで演奏するときの参考にもなりますよ。
まとめ
ヴィラ=ロボスの曲を弾くと『どうしてこんな音の使い方を思いついたんだろう?』と驚くくらいギターの特性がよく表現されていて、聴いてる以上に感動します。
上級者の弾く曲としては、譜読みの苦労から考えれば演奏効果が高く「コスパの良い曲」と言えます。思ったより弾きやすい曲も多いのでオススメです!
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